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「俺に似た人について知っていること」
もし余裕があればリンク先も読んで欲しい。
いや、リンク先だけでいいです。
12分で読める分量です。
ここからは僕の話。
3分で読めます。
僕の父の最期も緩慢な日々だった。
何年前のことだろう。やはり暑い夏のことだった。
蒸し暑い京都盆地が新撰組で盛り上がった年。
春に最初の連絡を受けた。
「お父さんが倒れた。大したことはないけど、知らせておこうと思って」
些細なことをわざわざ知らせる訳もない。
すぐに京都へ向かった。
肺癌の脳への転移。
それで歩行が不自由になり発覚した。もはや助ける術は無い。
出来ることは、苦痛を和らげることだけ。
脳への転移は対処が出来るとのことで、隣県の専門病院へ受け入れを要請した。
主治医が「早急に」と強く申し入れて、それでも2週間後だったろうか。
日々、具合が悪くなり、歩けなくなり言葉が少なくなった。
隣県へは僕が運転した。
車椅子で自動車まで運び、看護師さんに手伝ってもらって後部座席に乗せた。
転移を叩けば一時的に快方に向かう。
脳の血流が回復し、歩行や会話が可能になる。
助かる訳ではないけれど。
「少し、遠回りをしようか」
堀川通りを南下しながら、そう言った。
もう一度、桜を見せたくて。
二条城の桜は西側に集中している。
堀川通から迂回して、城の北西角・北南角と回った。
父が見る最後の桜。
どんな桜だったか何も覚えていない。
声を震わせないことに必死だったから。
専門病院の治療を受け、京都でリハビリをして、
本当に歩けるようになり、話も出来るようになった。
この瞬間がずっと続けばいいのに。
光が差すような日々がそこにあった。決して幸せといえないけれど。
容体が安定して自宅で過ごせていた頃のこと。
僕はいつものように実家へ向かう途中、ふと踏切近くの店が気になった。
持ち帰り寿司の店。
父はにぎり寿司が好きだった。
立ち止まって小さな折り詰めを買い、大したお金の入っていない財布をポケットにしまい実家へ向かった。
父は一階にいた。
階段を上らなくて良いよう、置かれたベッドに腰掛けて。
その日は何を話しただろう。
特に何を話した覚えもない。長く過ごした訳でもない。
いつものように様子伺いをして、「これ、お寿司やからあとで食べといて」と言い残して帰った。
どんな顔をしていたかも印象にない。
ただあとで聞いたことによると、涙ぐんでその寿司を食べていたらしい。
僕が父にごちそうしたのは、その一度だけ。
ただの手土産を一度きり。
癌の原発巣に出来ることはあまり多くない。
化学療法で拡大を抑え、脳への再転移をなるだけ防ぐ。
それによって歩行や会話の可能な期間を長く確保する。
ただ、それだけ。
一日が貴重だった。
僕は父から何も教わっていない。
大学へ行くために故郷を離れ、そのまま別の地で暮らしていた。
子供の頃に背中を見て育ったが、大人として酒を交わして話をしていない。
これから人生を教わろうと思っていた。時間をかけて。
なのに時間がない。
その日は突然やって来た。
その時は、まだ気づいていなかったけど。
実家の近くに新撰組ゆかりの寺があり、その近くに旨いきんつばの店がある。
父はそれが好きらしい。
実家から自転車で店へ行き、バラで2個だけ買って病院へ向かった。
病室では父が寝ていた。
その頃には目をつむっている時間が増えていたので、いつものことかと静かに話しかけ、備え付けのテレビ台の抽斗にきんつばをしまって帰った。
それから何日目だったろうか。
父は目を覚まさないまま静かに幕を閉じた。
少し固くなったきんつばをのこして。
父は貧しい本屋の末っ子だった。
ただ生きることに必死で、印刷工場に勤め、結婚し、僕を育てた。
同僚から「よく息子を大学に入れたな(笑)」と言われたそうだ。
父は懸命に貧困の連鎖を断ち切ろうとしていた。
「貧困の連鎖」なんて言葉も知らない人が。
僕と父はそっくりの外見をしているらしい。
「らしい」というのは、自分でそう思っていないから。
父は痩せ型で、僕はもう少しふっくらしている。
しかし人に言わせると、そんな問題じゃなく似ているという。
ぜんぜん分からないけど。
ただ最近、鏡の中に父によく似た人がいるんだ。
会いに来ているのかも知れない。
寂しがりな人だったから。
教われなかったことは、自分で学ぶことにするよ。
鏡の中のお父さんから。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
クーリエという雑誌の定期購読に、こんなレターが入っていたらしい。

僕が読者なら、クーリエを購読していてよかったと満足するんじゃないか?
定期購読が終わる号だったとしても、続けようと決めるんじゃないか?
雑誌を「商品」とすれば、定期購読は「定期的な通信販売」。
編集長レターは「通販の封入物」にあたるはず。
通販の封入物としてみるとき、編集長レターはこの上ない成功を収めているというほかない。
豪華なカラー印刷でもなければ、厚い紙も使っていない。とても低いコスト。
写真も使っていない、単一フォントのテキスト文。
装飾無しに、編集長のレターに力があることを信じている。
それで本当に力があるから嫉妬した。
いくら文章のプロだからって、これはないよ!
文章のプロが、文章で勝負をかけている。
じゃあ、僕は何をすべきなのだろう?
僕は「誰も見たことないような美味しいコーヒー豆のお店」をやっています。
自分が満足できるコーヒーのお店がなかったので、作っちゃいました(笑)。
せっかくお買い上げいただいたお客様には、満足していただきたい。
誰がどう淹れても美味しいCafePlusコーヒーの価値を感じてもらいたい。
CafePlusを知っていただいたからには、お客様のお気に入りになりたい。
僕が通販でお客さんとして買い物する時、もっと気楽です。
何となくお店を選んで買って、何となく接客がよかった・いい手紙が入っていたからまた買う。
商品に不満を持つなんて、よほどじゃなきゃあり得ません。
コーヒーのお客様もそうだと思うんです。
他店でお買い上げのお客様も、CafePlusでお買い上げのお客様も。
今のCafePlusでお買い上げいただけたお客様は、どんな魅力を感じてくださったのか。
この美味しいコーヒーをみなさんに楽しんでいただくために、僕に何が出来るのか。
もう一度考えてみます。
ちょっと宣伝
----------------------
記事に書いた「誰も見たことのないほど美味しいコーヒーのお店」はCafePlusといいます。
コーヒーを難しく考えず、くらしにコーヒーをプラスして欲しい、
コーヒーに何かをプラスして楽しんで欲しいコンセプトです。
世界のコーヒーコンテストで入賞したような豆を集めて、最新の方法で焙煎しています。
スーパーなどで売っている豆より少しだけ高いですが、けた違いに美味しくて満足できるコーヒーです。
「今日も、いい日だ」と幸せをかみしめることの出来るコーヒーですよ。
ぜひ、ひとつ。


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ぜひ、ひとつ。


下らない。どうにも下らない。
こういうのを観たかったんだよ!
大学のだらしないSF研究会にひょんなことからタイムマシーンが出現して、
どうでもいいことに使ってたら、タイムパラドックスで世界が消える可能性に気づきドタバタが始まる。
そんなストーリーなんだけど、そういうのはいいんです。
どうせ大方の予想通りに展開するから。
面白いのは伏線の回収とドタバタの展開。
監督は踊る大捜査線の本広克行。
楽しませることにかけて当代随一。
キャストは、

瑛太。
これがヒドイ目に遭うんだわ。

で、上野樹里。のだめでおなじみ。
本作は2005年夏公開で、のだめは翌年秋のテレビドラマ。
瑛太と共演が多いね。のだめ、オレンジデイズ、ラスト・フレンズだっけ。
のだめのようなペターっとしたしゃべり方は、まだ花開いてない。



真木よう子。
こんなに地味な人だったの?と思ったけど、舞台挨拶では、

今とそんな変わらない。
今のイメージは、こっち系。

2007年のグラビアらしい。
とりあえず真木よう子の画像を貼りたかっただけじゃ?
という気がしないでもないけど気にしない。
えーと、何の話だっけ。
そうそう、若手実力派が揃いのせいか、バカな話なのに抜群の安定感。
娯楽作はこうじゃないとね!
テンポもいいし、もう最高。
特に為になる何かを残さない。
「ああ楽しかった!」という気持ちだけが残る。
今の売れっ子さんたちが6年前に頑張っていた映画。
楽しいよ!
星:★★★★☆(4つ)(夏の終わりに、どうぞ)
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絶賛するもケチョンケチョンにするもその人次第。
せっかくだから良いところだけ書いてみたい。
まずは松山ケンイチがいい。
ぼそぼそした話し方がハルキ作品の主人公らしい。
水原希子もいい。
モデル出身で演技なんて出来ないけど、
何考えてるのか分からないエキセントリックな役柄だから、
一本調子のセリフがかえって雰囲気を増している。
役作りした上でこれなら、すでに名優といいたい。
何より美しい。
ハルキ作品の女性は美しくなくてはいけない。
「ねえ、あたしが今何考えてるか分かる?」
は、美しい人だから様になる。

水原希子
本作の原作のモチーフを別の作家が書けば、エロ小説になったかも知れない。
いくつものエピソードが描かれることで、美しい物語として成立する。
なのにこの映画は、その重要なエピソードを大胆にカットした。
だから物語として成立していない。
しかし原作は1000万部を売った小説。
心配しなくても、原作を読まずに映画を観た人は少ないだろう。
カットした部分は観客が原作から補ってくれる。
そうでもしなければ文庫で600ページの長編小説を、
130分の映画に仕立てることは不可能だ。
「だからって、このシーンを切ったか・・・」と思わせる部分がないでもない。
というか、多すぎる。
けどいいんです。
観客はストーリーなんて百も承知。
物語の成立に重要なエピソード群も覚えている。
だから映画単独における物語の成立性なんてどうでもよくて、
原作を読んだ人が空気感を感じ取れれば足りる。
その空気感を作ることにおいて、大変に注意深く作られていた。
丁寧に考証を重ねて空気を描き、とどめにビートルズが歌う。
些細なことにツッコミを入れるより、楽しもうと思わせる。
いいですよ、この映画。
「流行り物に乗ったら負け」とかいわず、楽しもうよ。
星:★★★★☆(4つ) (減点ポイントは大いにあったので)
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2004年、ドイツ・オーストリア・イタリア共作映画。
ヒトラー自決の直前までを若い女性秘書の目を通じて描く作品。
シーンの大半はヒトラーが籠もる地下要塞。
地上では既ににベルリンまでソ連軍が来ており、首都が前線。
補給もなければ兵士も足りない。民兵が粗末な武器で犬死にするだけの袋小路。
総統ヒトラーは戦況に癇癪を起こし、憔悴しきっている。
少しずつ、着実に狂っていく。
対照的に描かれるのが、ヒトラーの個人秘書として採用されたトラウドゥル・ユンゲ。
「総統閣下は〜お怒りのようです」パロ動画で、ドアの外で慰めてるあの女性だ。
演ずるアレクサンドラ・マリア・ララが非常に美しい。
地下要塞に咲いた彼女の美しさが、総統の憔悴と狂気を強く印象づける。
軍務を拒否する老市民が路上で容易く殺され、病院には子供の死体が放置される。
音に聞く地獄とはこのことか。本当に恐ろしい。リアルに吐き気を催した。
直視を続けられる訳がない。チキンだから。
容赦なく死体や血が出現する。
血が出なくても、終盤のゲッベルス夫人のあのシーンは目を覆った。
無理だよあんなの、見られる訳ないじゃん。
感想?
ひたすら恐ろしかった。
本当は「どうしようもなく下らなくて面白い娯楽映画」をみたかったのだけど、
見当たらなかったので対極の本作にした。
うん、後悔。
誰にでも軽々しく勧めるような映画じゃないけど、興味があれば、ぜひ。
美しいアレクサンドラ・マリア・ララと、
丁寧に描かれた地下要塞の静謐をみるだけでも価値があるよ。
星:★★★★★(5つ)
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